製品やサービスの具体的な特徴<属性>が、どのような価値をイメージさせるのかを明らかにする調査分析手法で、商品開発や広告プランでよく使われます。
「ラダリング」とは、「ladder:はしご」の現在分詞で、この場合ははしごを上がったり降りたりするという意味を表します。
はしごの最下段・1段目には商品の具体的な属性(スペック)が配置され、その上の2段目は属性が直接目的とする機能的な価値(例:高精度、信頼性など)です。
3段目はお客様が充足を望んでいる固有の情緒的な価値(例:誇れる、安心できるなど)がきて、それらを統合し最上段にくるものが「真のニーズ(価値観)」です。
調査手法としてはインタビューや連想写真を使うものなど様々な方法があります。
(注)本文ページでは「ニーズ」、このナレッジページでは「価値」と言葉を使い分けていますが、ニーズと価値は相対しますので、ラダリングは価値の構造化にも、ニーズの構造化にも使えます。またお客様のニーズが商品の価値によって満足された結果を「ベネフィット」という言葉で表現し、お客様の満足結果(ベネフィット)を構造化するのにも使用されます。
例えば飲食店へのお客様のニーズは、料理の質、コスト、会食の楽しさ、接客サービス、利便性など様々ありますが、これらを総合的に満足いただけたとしても、お客様の価値観にフィットしていないとお客様の心に響く満足は提供できません。
そこで、最も重視する客層を女子会やカップルに絞ると、「友達や恋人と楽しい時間を過ごしたい」という真のニーズが見えてきます。お客様の真のニーズは「楽しむ」ことだと考えると、料理や店の雰囲気だけでなく、皆で楽しめるゲームを設置したり、誕生会メニュー、見た目で楽しめる新メニュー開発など、様々な価値強化の余地に気づくことができます。
製品やサービスは様々な価値を提供しますが、どれもが「まあまあ満足」で、心に響く満足体験がないと、再来店や口コミに繋がることはありません。お客様の価値観にフィットし、強い印象を与えられる価値体験を提供することで、「まあまあだけど普通」という営業効率の低い状態から抜け出し、お客様から強く支持されることができます。
<ラダリングのメリット>
ラダリングを行うと、お客様の真のニーズが明確になるだけでなく、
①どういう価値強化を行うべきかがわかりやすくなり、様々な改善余地に気づきやすくなる
ピークギャップを狙う通常の価値強化では、「どの価値を強化するか」の判断が難しいですが、目的となる上位のニーズが明らかになれば、価値強化の決断も迅速化できます。
②一貫性の高い価値提供が可能になる
価値の明確化(マイニング)と強化(ビルド)を行っても、価値の提供方向がバラバラだとお客様の満足が十分に高まらないことがありますが、最上位のニーズにコミットメントすることで一貫性の高い価値を提供でき、お客様の満足を効果的に高めることができます。
<実施手順>
1.顧客理解、市場・競合理解、自社理解(いわゆる3C)による要素出し
2.価値観の違いで顧客をセグメントし、潜在不満の大きい顧客セグメントを探索(CS調査、クラスター分析)
3.自社の提供価値を洗い直し、お客様の満足につながる価値体系に整理(ラダリング、特製要因図)
4.自社業界、類似業界の成功ケーススタディを調べ、価値強化のアイデア出し
5.未活用の社内リソースの活用余地や、新たな社外リソースとの組み合わせの検討
6.自社がコミットメントする案を複数立案し、競合優位性、実現性、収益性を比較検討
7.コミットメントの決定と具体計画の策定
大まかには上記のようになります。弊社のような経験のある外部リソースを活用いただくことで、1ヶ月ほどでスピーディにコミットメントを定めることも可能です。