価値を生み出す組織能力を考える:ミンツバーグの「変革キューブ」

ミンツバーグが著書「戦略サファリ」で紹介している概念で、企業が変革に取り組む際の様々な要素を体系的にまとめたものです。

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キューブ前面の左側は戦略、右側に組織に関する階層構造がまとめられています。戦略と組織のどちらも、階層の上方向に概念的、下方向に具体的なものが配置されています。最も概念的なものが戦略ではビジョン、組織ではカルチャーとされ、上から2段目にポジション組織構造、3段目にプログラムシステム、そして最下段の最も具体的なものが製品人材になります。

キューブの奥行は手前が「明白で形式的なもの」、奥側が「暗黙的で非形式的なもの」です。価値が明らかになり形式知化されたものが手前、まだ共有されず暗黙知となっているもの(例:お客様だけが知っている価値)が奥になります。企業の取り組みが継続され浸透するほど、社内外に様々な暗黙知が増えて奥行きが広がると考えられるため「浸透度」を追記しました。暗黙知をマイニングして新しい価値提供の余地を見出して形式知化することで、戦略と組織が洗練されます。

戦略と組織は強く関連しており、ミンツバーグも「組織を変える時には、この両方を考えねばならない」と書いています。さらにキューブのどこかを変える場合は「そこから下はすべて変えなければならない」とし、「組織が真剣に変革に取り組むには、このキューブのすべてをカバーしなければならい」と述べています。

キューブ前面の階層構造はラダリングと似た点があり、「情緒的な価値」「機能的な価値」を追記しています。お客様に企業のビジョンやコミットメントに共感いただくには、キューブのすべての要素を見直し、洗練させることが必要です。