「一番の成功」が生む錯覚:ドラッカー「先行者の5つの悪癖」

 

「先行者の5つの悪癖」は、ドラッカーの著書「イノベーションと起業家精神」に掲載されている4つの起業家戦略の1つ、先行者の「弱みへの攻撃」の中で紹介されています。

先行者の悪癖を突いてリーダーの地位を奪う戦略をドラッカーは「起業家的柔道」と呼び、この戦略は「最もリスクが小さく、最も成功しやすい」と言っています。

「先行者の5つの悪癖」とは、

.傲慢さ       ・・・自分たちが考えたもの以外にはろくなものがないという傲慢さ

.いいとこ取り    ・・・最も利益が上がる部分だけを相手にするといういいとこ取り

.価値についての誤解 ・・・高い技術とコストをかけたものに価値があると思い込む。実際は顧客が有用と認めたものに価値がある。

.創業者利益なる錯覚 ・・・いいとこ取りや、価値についての誤解を「創業者利益」として正当化してしまう。実際は新規参入者にチャンスを与えるだけの単なる錯覚

.過剰な機能の追求  ・・・製品やサービスの最適化でなく最大化を求めてしまう。その結果、これまで製品やサービスを選んでくれていた顧客を失う。

以上の5つです。

新規参入者は、先行者の5つの悪癖を突くことで急成長し、特に、①先行者が予期せぬ成功や失敗を見過ごしたり無視したとき、②創業者利益の虜になったり、最適化でなく最大化を目指したとき、③市場や産業が急速に構造変化したときは、新規参入者は大いに成功し、トップの座を奪うことすら可能となると言っています。

先行者の悪癖は、先行者ならではの認知バイアスが働いた結果と言えますが、イノベーションに成功して市場リーダーとなった企業でさえ、易々と先行者の悪癖に陥ってしまいます

企業の成功が続かない、問題解決が長期化してしまう大きな原因は、認知バイアスという人間心理そのものにあります。大きな失敗を避け、問題解決に速やかに取り組みためには、悪癖やバイアスに陥っていないかを客観的にチェックすることが必要です。